最小公倍数の求め方を徹底解説!すだれ算の裏ワザと3つの数の解法
小学校5年生の算数で多くの家庭が直面するのが、「通分の壁」と「約数の壁」です。文部科学省の学習指導要領でも重要単元に位置づけられる倍数・約数ですが、子どもが宿題のノートを前にペンを止め、ため息をつく姿に頭を抱える保護者は少なくありません。中でも「最小公倍数の求め方」は、分数の足し算・引き算をスムーズに解くための生命線であり、中学受験算数や中学校以降の数学の土台となる極めて重要な単元です。
大手進学塾の講師陣や教育相談の現場を取材すると、「書き出し方式で時間が足りなくなる」「最大公約数と混ざってパニックを起こす」といった悩みが毎年のように寄せられています。効率的な計算テクニックとして知られる「すだれ算(連除法・短除法)」の正しい手順、2つの数と3つの数で生じるルールの決定的な違い、そして「なぜ最後に外側の数をすべてかけるのか」という数理の根拠まで、算数のつまずきを劇的に解消する実践的なノウハウを体系化しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:最小公倍数の求め方は「書き出し」「すだれ算(連除法)」「素因数分解」の3つがあり、数値の大きさに応じた使い分けが不可欠。
- 要点2:塾で推奨される「すだれ算」は、3つの数を計算する際に「2つだけ割れる場合も進める」という特殊ルールを知らないと誤答につながる。
- 要点3:外側の商と除数をすべてかける理由は「各数の共通素因数を余すことなく回収し、過剰な重複を排除する」数学的必然性にある。
【超入門】最小公倍数とは?最大公約数との決定的な違いを整理
算数が苦手になる典型的な引き金が、用語の混同です。特に小学校5年生の秋頃、公約数と公倍数を同時に学習するタイミングで「どっちが大きくなる数だっけ?」と混乱してしまう児童が急増します。
本質を掴むための第一歩は、言葉の定義をシンプルに分解することです。
- 倍数:ある数を1倍、2倍、3倍……と増やしていった数(例:4の倍数は 4, 8, 12, 16, 20… と無限に続く)。
- 公倍数:2つ以上の数に「共通する倍数」(例:4と6の公倍数は 12, 24, 36…)。
- 最小公倍数(LCM:Least Common Multiple):共通する公倍数の中で「最も小さい数」(例:4と6の最小公倍数は 12)。
教育現場の観察調査でも明らかな通り、最大公約数と最小公倍数の違いを直感的に区別するには「元の数より小さくなるか、大きくなるか」という結果のスケール感を意識させることが効果を発揮します。公約数は「元の数を割り切る小さな数(最大でも元の数と同じ)」であり、公倍数は「元の数を何倍かした大きな数(最小でも元の数以上)」です。この土台が曖昧なまま計算手順だけを詰め込むと、分数の通分や文章題で致命的なミスを招く要因となります。

最小公倍数の求め方「3つのアプローチ」を徹底比較
最小公倍数を求めるアプローチには、主に「倍数の書き出し法」「すだれ算(連除法・短除法)」「素因数分解」の3つの解き方が存在します。教科書通りの基本解法から、難関受験・高校数学まで直結する解法まで、それぞれの特徴と実用度を整理しました。
| 解法パターン | 詳細・計算手順 | メリット・適した場面 | 編集部の推奨度と注意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 倍数の書き出し法 | 各数の倍数を小さい順に書き並べ、最初に出現する一致点を探す。 | 概念を直感的に理解しやすい。1桁の小さい数(3と4など)に有効。 | ★☆☆☆☆ 2桁以上の数になると書き出す量が膨大化し、計算ミスが頻発する。 |
| 2. すだれ算(連除法・短除法) | 数を並べて逆さの割り算記号を書き、共通の約数で割り続ける。 | 省スペースかつ最速。小学校高学年のテストから中学受験まで標準装備。 | ★★★★★ 実戦力最強の解法。ただし3つの数の処理手順を正しく学ぶ必要がある。 |
| 3. 素因数分解法 | 数を素数の積に分解し、出現する素数の最大の指数(個数)を掛け合わせる。 | 数学的な構造が明確。中学校以降の数学や文字式の計算にも完全対応。 | ★★★★☆ 小学生には素数の概念理解がハードルになるが、習得後の汎用性は抜群。 |
公立小学校の初期指導では「書き出し法」が採用されがちですが、例えば「18と24」の最小公倍数を探す際、書き出しを続けるのは時間的にも作業スペース的にも非効率です。速さと正確性を両立する上では、簡単な解き方として定評のある「すだれ算(連除法)」のマスターが欠かせません。
【学校では詳しく教えない裏ワザ】すだれ算(短除法)のやり方と「なぜかけるのか」の理由
塾や予備校で必須テクニックとして伝授されるのが、割り算の筆算記号を上下逆にしたような形状の「すだれ算(短除法・連除法)」です。その具体的なステップを「12と18」の実例で確認しましょう。
【すだれ算の基本手順(2つの数の場合)】
- 12と18を横に並べて書き、その左側と下を覆うように割り算の逆記号(L字の枠)を書く。
- 2つの数に共通する約数(公約数)を左側に書く。偶数なので、まず「2」で割る。
- 12÷2=6、18÷2=9 となり、下にそれぞれ「6」と「9」を書く。
- さらに6と9に共通する公約数「3」を左側に書き、下には 6÷3=「2」、9÷3=「3」を書く。
- 下に並んだ「2」と「3」はこれ以上共通の数(1以外)で割れない(互いに素の状態)ため、ここでストップ。
ここで、最大のポイントとなるのが計算の仕上げです。
- 最大公約数:左側に並んだ数だけをかける(2 × 3 = 6)
- 最小公倍数:左側の数と、最下段に残った数を「L字型」にすべてかける(2 × 3 × 2 × 3 = 36)
多くの小学生が疑問を抱き、つまずくのが「なぜ全部かけるのかという理由」です。理由を教えずに「外側を全部かければ答えが出る」と丸暗記させると、数の本質的な意味が抜け落ちてしまいます。
この仕組みは、数を「構成要素(素因数)」に分解して考えると明快です。
- 12 = 2 × 3 × 2 (2が2個、3が1個)
- 18 = 2 × 3 × 3 (2が1個、3が2個)
12と18の共通部分が左側に並んだ「2 × 3 = 6」です。そして、12にするためには残りの「2」をかける必要があり、18にするためには残りの「3」をかける必要があります。つまり、2 × 3(共通部分)に、それぞれの固有の残りカス(2と3)を1回ずつ掛け合わせることで、「12の倍数」であり、かつ「18の倍数」でもある最小の塊(36)が完成するわけです。無駄な重複を省きつつ、両方の数の条件を満たすための数学的な必然性が、あの「L字がけ」に凝縮されています。

【要注意】3つの数の最小公倍数で「すだれ算」を使うときの決定的な落とし穴
2つの数のすだれ算を難なくこなせるようになった子どもたちが、テストで一斉に失点するのが「3つの数の最小公倍数」です。ここには、学校の教科書では深く踏み込まれない特殊ルールが存在します。
具体例として、「4, 6, 9」の最小公倍数を求めてみましょう。多くの児童が次のような致命的なミスを犯します。
【よくある誤答例】
「4と6と9の3つを同時に割り切れる数がない(公約数が1しかない)から、これ以上割れない! よって最小公倍数は 4 × 6 × 9 = 216 だ!」
――これは完全な間違いです。4, 6, 9の正解の最小公倍数は「36」です。
3つの数ですだれ算を行う場合、「2つの数だけでも割り切れる共通の約数があれば、割り算を続行しなければならない」という鉄則があります。この際、「割れない数(割り切れない数)は、そのまま下の段へスライドして下ろす」という作業を行います。
【正しい3つの数のすだれ算ステップ】
- 「4, 6, 9」を並べる。3つ共通の約数はないが、「4」と「6」は「2」で割れる。
- 左側に「2」を置く。4÷2=2、6÷2=3。9は2で割り切れないため、そのまま「9」として下に下ろす。(下段:2, 3, 9)
- 次に「2, 3, 9」を見る。2は割れないが、「3」と「9」は「3」で割れる。
- 左側に「3」を置く。2はそのまま下ろして「2」。3÷3=1、9÷3=3。(下段:2, 1, 3)
- 残った「2, 1, 3」のうち、どの2つの組み合わせを取っても、もう共通で割れる数はない。ここで終了。
- 外側の数をすべてL字型にかける:
2 × 3 × 2 × 1 × 3 = 36
この「2つだけでも割る」「割れない数はそのまま下ろす」という例外ルールを理解していないと、塾の復習テストや模試で手痛い失点を喫します。3つの数の計算において、最大公約数を求める場合は「3つすべて割れなくなった時点で即座に終了」しますが、最小公倍数の場合は「2つでも割れる限り粘り強く下ろして割り進める」という挙動の差異を徹底的に叩き込む必要があります。
【実態検証】小学校5年生の現場と保護者が直面するリアルなつまずき
大手教育情報サイトや知恵袋、保護者のコミュニティを調査すると、「最小公倍数の概念は分かっているはずなのに、なぜか計算問題でボロボロ落とす」という悲痛な声が目立ちます。東京都内の個別指導塾で教室長を務める指導者は、生徒の観察記録から次のような傾向を指摘しています。
「子どもが通分の計算で手が止まる最大の要因は、計算技術の不足ではなく『九九の逆引き能力(商の見当づけ)』の弱さにあります。例えば『28と42』を見た瞬間に、どちらも7の段、あるいは14の倍数だと瞬時に気付けるかどうかの数の感覚です。すだれ算を教わっても、何で割ればいいのか思いつかず、フリーズしてしまうのです」
さらに近年、スマートフォンの普及に伴い、数値を入力するだけで一瞬で答えが出る「最小公倍数計算ツール」や学習アプリが浸透しています。宿題の検算や親の丸付け効率化としては非常に有用なテクノロジーである一方、教育現場からは懸念の声も上がっています。
答え合わせをアプリに依存しすぎた結果、「なぜその数値になるのか」という試行錯誤のプロセスをスキップしてしまい、試験本番で自力で素数を見つけ出せなくなる児童が増加傾向にあります。計算ツールはあくまで「答え合わせと答えの妥当性を確かめるサポート」として位置づけ、ノートの上で鉛筆を動かして除算を繰り返すフィジカルな計算経験を積ませることが、算数の基礎体力を養う上での絶対条件です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|公式「A×B=最大公約数×最小公倍数」の真実
中学受験や数学愛好家の間で有名な関係式に、次の最小公倍数の公式があります。
【2つの自然数に関する重要公式】
2つの数 A と B の積 = (最大公約数 G) × (最小公倍数 L)
(数式:A × B = G × L)
例えば、先ほどの「12」と「18」で検証してみましょう。
- 12 × 18 = 216
- 最大公約数(6) × 最小公倍数(36) = 216
しかし、ネット上の掲示板や簡易的な解説記事で散見される極めて危険な誤解があります。それは「この公式を3つの数にも当てはめてしまう」というミスです。「A × B × C = G × L」という式は、一般には絶対に成り立ちません。3つの数になると、数の間で重複する約数の構造が立体的になり、単純な掛け算の関係が破綻するためです。公式の適用範囲を正しく見極める論理的思考力こそが、算数から数学へとステップアップするための分水嶺となります。
文章題の解き方:問題文の「合図」を見抜く
計算はできるのに文章題になると途端に解けなくなる子どもは、「問題文から最小公倍数を使う合図(シグナル)」を読み取れていません。文章題には明確なパターンがあります。
- 「同時に出発して、再び同時に出発するのは何分後?」(周期・電車の発車・点滅の問題)
- 「タイルを敷き詰めて、最も小さい正方形を作るときの一辺は?」(図形の敷き詰め問題)
- 「〇人で分けても、△人で分けても、□個余る数は?」(余りや不足に関する数の問題)
これらはすべて、「異なる周期や長さを揃えて、未来の共通ポイントで一致させる」作業を意味しています。「数を大きくして一致させる話だな」と気付かせることで、迷わず最小公倍数の立式へと持ち込むことが可能です。
実践力を鍛える!最小公倍数の練習問題
知識を定着させるために、厳選した2つの練習問題にチャレンジしてみましょう。
【基本問題】次の数の最小公倍数を求めなさい。
(1) 14 と 21
(2) 12 と 15 と 20
【文章題】
あるバス停から、A系統のバスは12分ごと、B系統のバスは18分ごとに出発します。午前8時に2つのバスが同時に出発しました。次に2つのバスが同時に出発するのは何時何分ですか?
【解答と解説】
(1) 14 と 21 の解法:
すだれ算を使います。どちらも7の段の数なので、7で割ります。
14÷7=2、21÷7=3。残った2と3はこれ以上割れません。
外側をすべて掛け合わせます:7 × 2 × 3 = 42
(2) 12 と 15 と 20 の解法:
3つの数のすだれ算です。まず12と20が割れる「4」や、15と20が割れる「5」などを使います。
まず「2」で割ると、12÷2=6、15は割れずそのまま、20÷2=10。(6, 15, 10)
さらに6と10を「2」で割ると、6÷2=3、15はそのまま、10÷2=5。(3, 15, 5)
次に3と15を「3」で割ると、3÷3=1、15÷3=5、5はそのまま。(1, 5, 5)
最後に5と5を「5」で割ると、1はそのまま、5÷5=1、5÷5=1。(1, 1, 1)
割った数と最後の商をすべてかけます:2 × 2 × 3 × 5 × 1 × 1 × 1 = 60
【文章題の解法】:
同時に出発する時間は、12と18の公倍数になります。「次に」同時に出発するのは最も小さい公倍数、すなわち最小公倍数です。
12と18の最小公倍数は 36(すだれ算:6×2×3=36)。
したがって、次に同時に出発するのは36分後となります。午前8時の36分後なので、正解は 午前8時36分 です。
【最小公倍数の求め方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:小学校のテストですだれ算(連除法)の計算メモを残すと減点されますか?
A1:学校の指導方針や担当教員によって対応が分かれます。文部科学省の教科書では「倍数を書き並べて見つける方法」を基本として解説しているため、一部の公立小学校では途中式にすだれ算を書くと指導が入るケースがあります。ただし、余白やすみっこに計算用紙としてすだれ算を書き、解答欄に正しい数値を記入する分には一切問題ありません。学校では書き出しの基本を理解していることを示しつつ、計算のスピードアップにはすだれ算を活用するのが賢い戦略です。
Q2:最小公倍数を一瞬で暗算できる簡単な解き方はありますか?
A2:2つの数のうち「大きい方の数の倍数を頭の中で順に作り、もう片方の数で割り切れるかをチェックする」という方法が最速です。例えば「8と12」なら、大きい方の12に注目します。12×1=12(8で割れない)、12×2=24(8で割り切れる!)。この瞬間、暗算で「24」と導き出せます。2桁の小さめの数であれば、すだれ算を書くよりもこの方法が圧倒的に早く実戦向きです。
Q3:中学受験を視野に入れている場合、素因数分解はいつ覚えるべきですか?
A3:小学校5年生の夏休み前後までに習得しておくことを強く推奨します。素数(2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19…)の感覚を早期に身につけておくと、約数の個数を求める問題や、分数の約分・通分、さらには中学1年生の数学「正負の数・素因数分解」へスムーズに接続できます。すだれ算の根本原理も素因数分解に基づいているため、両者をセットで学ぶことで理解度が飛躍的に高まります。
まとめ:算数の壁を突破するための確かな判断基準
最小公倍数の攻略において最も避けるべきは、「機械的なやり方だけを丸暗記して、意味を理解しないまま先に進むこと」です。数字が小さいうちは地道な書き出しでも乗り切れますが、桁数が増え、3つの数になり、複雑な文章題へと進むにつれて、必ずどこかで限界を迎えます。
まずは大きい数の倍数を順にチェックする「暗算テクニック」と、確実な処理能力を誇る「すだれ算」の両輪を確立すること。そして、3つの数における特殊なルールや「なぜ外側をすべてかけるのか」という数理の骨格を腹落ちさせることが、算数の苦手意識を払拭するための唯一の突破口となります。本質的な数の仕組みを掴み、確かな計算力と論理的思考力を養っていきましょう。 (出典: 最小 公倍数 の 求め 方(Yahoo!ニュース))